愛知県名古屋市にあるどて焼き 鳥正。
名古屋のソウルフード『どて焼き』の名店として観光客などにも人気の老舗居酒屋。
八丁味噌でじっくり煮込んだ伝統の味「どて焼き」をはじめ、「味噌串カツ」や「どてめし」といった名古屋グルメを味わえる。
今回はそんなどて焼き 鳥正に名古屋メシをつまみに一杯飲みに行ってみた。
目次(タップできる)
どて焼き鳥正
今回訪問したのは愛知県名古屋市栄、地下鉄伏見駅「5番出口」より徒歩3分、栄の繁華街の一角。
入江町通と桑名町通の交差する角に店を構える「どて焼き 鳥正」。
1949年(昭和24年)創業の名古屋の郷土料理「どて焼き」を名物とするお店。
創業当時は、広小路通に屋台「きむらや」として営業。
1960年(昭和35年)のこと、当時、劇団「新国劇」の看板役者であった島田正吾氏がこのお店を気に入り、新国劇のマークにサインを書いた暖簾をお店に贈ったそう。
それがきっかけで、お客が口々に「鳥正のお店へ行こう」と言い始め、「きむらや」よりも「鳥正」として広く認知され現在の店名に改名するに至る。
ちなみに島田正吾氏は数多くの作品に出演、多くの賞を受賞した、98歳まで生涯現役を貫いた日本を代表する名優のひとりだ。
お店の看板メニューである「どて焼き」は、名古屋の郷土料理として有名で、他にも「味噌おでん」や「味噌どて」などと呼称される。
牛すじや大根などの具材を独特の甘辛な味わいが特徴的な八丁味噌で煮込んだ、いわゆる一般的なおでんとは違う他に類を見ない名古屋独自の郷土料理。
どて焼きのルーツは八丁味噌でどてを作り、その中に水を入れて煮込むのが始まりと言われているが、さすがに現代では鍋で煮込むのが主流となっている。
味噌でどてを作るなんて、塩辛くて仕方ないんじゃないかと思いがちだが、一般的な味噌より甘みが強く塩気も少ない八丁味噌ならではといったところ。
どて焼き鳥正の店内
狭い店内中央に厨房、それを囲むようにカウンター席が並ぶ独特のスタイル。
1階にはカウンター席が20席、2階と3階にも席があり、トータル38席ほどあるそう。
狭い店内、カウンターにぎゅうぎゅうに詰めて座り、時にはスペースを譲り合ったり、そんな風景が屋台時代の当時の雰囲気を想起させる。
どて焼き鳥正のメニュー
利用方法
- オープン前は入り口から向かって右方向に並ぶ
- 案内されたら順番に店内へ、案内された席に順番に座る
・オープン後は店内で店員さんに人数を申告して案内された席に座る - 席にて口頭で注文
- 食後は席にて精算撤収
どて焼き鳥正行ってみた
訪問したのは2024年9月30日(月)の16時50分ごろ。
オープン前、すでにお店の前には8名ほどの行列ができていた。
オープンとともに順番に店内に案内され、カウンター席へと陣取る。
ここで慌ててはいけない、順番にオーダーを聞きに来るのでじっくりとメニュー表を眺めてスタメンを決めておく。
今日も暑い、ここはセオリー通りに行くならば「とりあえずビール」となるところだろう。
まずはレモンサワーをお通しとともにいただく。
甘みがあり、レモンの果汁感がとても強い。
お通しはおろし大根とじゃこ。
シンプルだけど地味にとても旨い。
メインがしっかりめの味ばかりなので、こういうさっぱりあっさりとしたつまみはありがたい。
串カツ(味噌)
まず一品めのつまみは串カツの味噌味。
ソースや醤油もあったけど、やはり名古屋といえば味噌串カツは外せないだろう。
揚げたての串カツを八丁味噌のタレにくぐらせたもの。
外はタレダグダクだけど衣はサクサクで弾力がありつつ柔らかでジューシーなカツ、そこに濃厚甘辛な味噌の旨みとコクが抜群にマッチしている。
どて焼き 盛り合わせ
2品めはどて焼き(味噌おでん)の盛り合わせ。
左から豆腐・こんにゃく・大根・里芋・玉子・牛すじ。
まずは豆腐から食べてみよう。
豆腐はふんわりとした口当たりで、口に含むと豆腐に含まれるジューシーなエキスがあふれだす。
豆腐のおでんとか初めて食べたけど、これはなかなかいける。
味噌田楽とはまた違った味わいで面白い。
こんにゃくも間違いない。
八丁味噌と合わないわけがない。
ブリンブリンと弾力のあるこんにゃく、濃厚な味噌ダレの風味が抜群。
もう勝ち確な大根。
味噌ダレ吸って焦茶色になった大根、表面にはたっぶりと味噌ダレが絡んでいる。
下ごしらえであらかじめ出汁で煮込んでいるのだろう、出汁の旨み感じるジューシーなエキスがあふれる。
サクサク、ホロホロで甘辛でコク旨な味噌ダレが大根のポテンシャルを何倍にも跳ね上げる。
お次は里芋。
里芋の煮っ転がしとか旨いけど、タレで煮込んだら旨いどころのレベルではないのではないか?
ホクホクの里芋に甘辛な味噌ダレ。
もうあえて余計なことは言うまい、ただただ旨い!!
玉子はこの夏浜辺でウェイウェイしてきちゃったの?レベルに白い柔肌を小麦色に染める。
味噌ダレがっつり沁み沁みで、黄身はホクホク。
一般的なおでんの玉子の概念覆される味だ。
牛すじは串ではなく、皿の端に盛り付けられ小ネギが添えられている。
牛すじのクセなんてものは概念ごと消去されるくらいの煮込み加減。
味噌ダレの風味と牛すじの旨みが至高の融合を遂げている。
トロットロのホロッホロで口に含むと溶けてなくなる。
あまりの旨さに思わず天を仰ぐ。
これは色々と捗りますわ。
うるめいわし丸干し
続いて焼き物からうるめいわし丸干し。
香ばしいかおりに食欲を刺激される。
さっそく食べてみよう。
身はホクホクとして、噛むほどに濃厚な旨みが口腔内にあふれる。
程よい塩味、ビターなアクセントがたまらない。
レモンサワーもおかわり不可避。
砂肝串塩焼き
焼き物から砂肝(鳥)串塩焼き。
コリコリ食感で噛むほどに旨みあふれる。
焼き目の香ばしさと程よい塩味に旨みも引き立つ。
ねぎま(豚)串塩焼き
串焼き2本目はねぎま(豚)串塩焼き。
香ばしいかおりだけで大人の清涼飲料水グビグビいけそうだ。
シャキシャキで瑞々しいネギの甘み、ジューシーな豚肉の旨みが最高の一体感を演出。
焼き目の香ばしさが旨みのポテンシャルを引き上げる。
どてめし(小)
まだまだ名古屋の夜を堪能したいところだが、お腹のキャパも限界近いので、〆の丼物にどてめしの小。
ご飯の上に牛すじがたっぶり、小ネギと中央に玉子、そして豪快に味噌ダレがかけてある。
さっそく玉子を割ると、黄身がドバッと溢れ出す。
このシズル感にノックアウト。
味噌ダレ絡んだご飯とともに牛すじをいただく。
甘辛でほんのりビター感のある味噌ダレがコク深い味わい。
トロリと溶ける牛すじ、プリプリのこんにゃくも良いアクセントにきいている。
溢れ出す卵黄絡めて食べればコクと旨みも爆発。
十分すぎるほどに満腹感と満足感に満たされごちそうさま。
最後に
愛知県名古屋市にある「どて焼き」の老舗どて焼き 鳥正に言ってみた。
昭和の居酒屋感が今も残る非常に雰囲気満点なお店。
たまたま左隣に座った、行列を見かけて偶然お店に立ち寄ったという地元の男性、東京から大阪に向かう途中で名古屋に立ち寄ったというおばあさんという世代も違う全くの他人同士の3人が意気投合し話に盛り上がる。
こういう出会いがあるのも客同士の距離が近く、アットホームな雰囲気のお店だからこそ。
濃厚な八丁味噌きいた濃厚でパンチのあるつまみに自然と大人の清涼飲料水もすすむ。
満腹なのも忘れて色々と食べてしまうこの魔力、名古屋のご当地グルメのなせる技か。
名古屋に来た際には是非立ち寄って欲しいお店だ。